最近興味を持っている「モンテッソーリ教育」。書籍も多数あるようですが、まずは分かりやすそうなものを一冊購入。
一般的なモンテッソーリ教育の概要と今回読んだ書籍の内容から
①モンテッソーリとは
②本書(モンテッソーリ教育×ハーバード式)の要点
②具体的に家でも取り組めそうなこと
③子供との関わりで心掛けたいこと
の4点をまとめてみたいと思います。
モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの才能の伸ばし方
今回読んだのはこちらの一冊。
著者の伊藤美佳さんは20年以上保育士、幼稚園教諭として実際の教育現場に関わってこられた方。
モンテッソーリ教育との出会いはご自身の子育て中(当時はお子様3人の子育て×仕事をやめた焦燥感でかなり葛藤されていたとか)。その「子供の意思を尊重する」という考え方に衝撃を受け、改めてモンテッソーリについて学び直されたそうです。その後モンテッソーリ協会教員免許を取得され、現場に復帰。
幼稚園の代表職に就かれてからは、コーチングや心理学の知識も交え、よりよい教育現場を目指して様々な改革をされました。現在は「輝きベビースクールアカデミー」代表理事を務めていらっしゃいます。
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モンテッソーリ教育って何?
まず、一体「モンテッソーリ」て何なんでしょう?どんなことをするんでしょう?
モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。
日本モンテッソーリ教育綜合研究所HPより
「自己教育力」の存在
モンテッソーリ教育は「子どもは生まれながらにして、自分自身を成長させ、発達させる力をもっている」という考え方を大前提として作られています。
これは「自己教育力」とも言い換えられ、親(大人)に与えられるのは子供の持つこの力を引き出し、子供を自立を促すべく行動する役割。
具体的には
①子供を自立する手助けをする
(何でもやってあげるのは×)
②子供のペースを見守る
という心がけが必要とされます。
モンテッソーリ教育の目標|自立した人間をつくる
そして、モンテッソーリ教育の目標は
「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」こと
日本モンテッソーリ教育綜合研究所HPより
先ほどの大人の心がけと絡めて言えば、日常生活の練習など、簡単なステップを通して大人が子供の自立の手助けをする。また、子供のペースを辛抱強く見守ることによって、子供も他者を「待てる」子供になり、ひいては自分とは違う価値観を認められるよう(=思いやり)になるというわけ。
この教育目標、本書ではもう少し簡潔に
①自分で考えて解決する力
②自分を信じる力
③豊かな人間関係を作るコミュニケーション能力
を身につけること、と表現されていました。
「敏感期」に応じた教育環境を整える
続いてもう少し実践的なお話を。
モンテッソーリ教育では発達段階に合わせて様々な「敏感期」があるとされ、それに応じた教育環境を整えていきます。
紐通しやシール貼り、クロスステッチなど様々な教具とそれらを使った活動は「おしごと」と呼ばれ、モンテッソーリ教育の代名詞的存在。
「おしごと」は「やりなさい」と強制するものではなく、子供自身が自発的に「やりたい」と思うものを選ぶという点もポイントだそう。
以上がモンテッソーリ教育の概要となります。
本書の要点|子供の才能の伸ばし方
本書では、モンテッソーリの基本的な考え方に加え「子供の才能を伸ばす」という視点から
①集中(フロー)力
②「9つの知能」
に焦点が当てられていました。
集中(フロー)力に注目!
フロー=子供が何かに集中している状態
最も脳が発達する幼児期。モンテッソーリ教育の「おしごと」など何かに集中して取り組む経験が、今後の人生を力強く、能動的に生き抜く力に繋がります。
フローの力を育むには、大人が意識して子供が集中できる機会を作ってあげること、集中している時間を無闇に奪わないことが大切。
我が子は一人っ子ということもあり、一人遊びをしているとどうしても「何してるの?」と話しかけてしまいがちなのですが…。時には黙々と一人遊びをさせる、というのも必要だそうです。反省!
「9つの知能」
続いて「9つの知能」とは何でしょう?
著者が幼児教育に携わるにあたり、モンテッソーリ教育と共に重視しているのが「多重知能理論」の考え方。ハーバード大学のハワードガードナー教授が提唱しているもので、人間には8つの知能(言語的知能、郎んリス学的知能、空間的知能、身体運動的知能、音楽的知能、対人的知能、内省的知能、博物的知能)があるとされています。
「9つの知能」はこの考えをベースに著者が日本人向けにアレンジしたもの。
「9つの知能」
【学力:言語能力や論理的思考】
①言葉
②数
③絵
【感性】
④自然
⑤感覚
⑥音楽
【社会性:人付き合いや人間関係】
⑦人
⑧自分
【運動】
⑨運動
幼児期にはこの9つの能力をバランスよく伸ばしてやることが大切で、そうすること環境の変化にたくましく対応する応用力や発想力をもった人間に育つと本書では述べられています。
親はこの9つの観点から子供をよく観察し、足りないところを補ってやること。また、隠れた子供の能力を見つけたらそれば存分に発揮できる環境を整えてやること、が大切だそう。
つまり、モンテッソーリで育まれる集中力×ハーバード式の多角的な子供への眼差しを掛け合わせて、
というのが本書の趣旨。作中にはこの考え方に基づいたオリジナルメソッドが40種類紹介されています
具体的に家でも取り組めそうなこと
本書で紹介されている、様々な取り組みの中から、現在の娘(3歳、年少)に応用できそうなものをいくつかピックアップしてみました。
生活の中で数字に触れさせる。
例えばお菓子を「3個」お皿に出して一緒に数えたり、「長い時計の針が6になったらお着がえしよう」と声をかける、など。
数や量に興味を持つ幼児期(数の敏感期)。「9つの知能」にも含まれているように、しっかりとした数の能力をこの時期に鍛えることで、ロジカルに物事を考える能力につながります。
ゼロあそび
「ゼロ」の定義が分かるのも3歳頃からだそう。
数字の数だけ拍手をする→「ゼロ」のときは何もしない、というゲームをしてみたり、遊びを通じて「ゼロ=何もない」という概念を教える。
一緒に料理をする
一緒に料理をしながら食材の香りや手触りを確かめる。包丁で切ったり、火を通すと形が変わっていく感覚を体験させる。美味しいにおいを嗅ぐ。
日常生活の練習という意味合いに加え、感性(自然、感覚)の向上に繋がるそうです。
分身を作る
一番面白そうと思ったのはこれ!
大きな模造紙に子供を寝転がせ、ペンで輪郭をなぞり(等身大の子供の型ができる)、あとは子供に好きにデコレーションしてもらうというもの。
好きな服を着せたり、髪の毛にリボンを付けたり…自由な発想で楽しんでもらいます。
自分の体のサイズを客観的に見ることで、今の「自分」と向き合う一歩になるそう。週末のお楽しみにもいいですね!
以上、3歳前後に取り組めるメソッドの中から、気になるものをピックアップしてみました。作中には0歳~6 歳まで、それぞれの年齢に適したものが他にも多数紹介されています。
子供との関わりで心掛けたいこと
続いて、子供との関わり合いの中で大切な心掛けとして取り上げられていたもの。いくつか「あ、そうか!」と思ったものを紹介させていただきます。
否定語を使わない
人間の脳は否定語をとっさに理解できないそう。
「走らない」「立たない」などの否定語ではなく、「座ろうね」「歩こうね」など分かりやすい言い方を心掛ける。
正しいやり方を見せてあげる
モンテッソーリの「自立」「見守る」の精神にも繋がりますが、何でもかんでもやってあげるのではなく、正しいやり方を見せてあげる。出来るまで辛抱強く見守る。
想像する時間を与える
親が邪魔をせず考えたり想像したり時間を与える。
子供が何かに集中している時(フロー状態)は無闇に話しかけず、一人にしておく。集中力を育むことはこの時期とても大切。
老若男女に接する機会をつくる
さまざまな年代の人とコミュニケーションを取ることで、多様な価値観を知り、視野が広がる。「9つの知能」のうち「『人』の知能=他人の感情を理解して上手くやっていく能力」が伸び、対人関係を築くうえで大きなプラスになる。
老若?とはちょっと違いますが、娘の園で行われている縦割り保育でも、こういった効果が期待できるのではないかと思いました。
週末は家族だけでのんびり過ごしがちなわが家ですが、色んなコミュニティに参加してみる、というのも必要かもしれませんね。
終わりに:本の感想
さらっと読める分かりやすい一冊。イラストも多く、すらすら読めます。
モンテッソーリについては敏感期などある程度詳しく解説されていましたが、ハーバードの多重知能理論についてはさらっと触れられているのみ。この理論をしっかり学んでみたい!と言う方には物足りないかもしれません。
ただ、この本のウリは理論そのもの解説ではなく、これらの考え方を盛り込んだ実践的なメソッドが複数紹介されていること。実際に、「明日から早速やってみよう!」と思えるものが多く、子供との関わりがどう変わるかな?というワクワク感ももらえました。いろんな視点(9つの知能)から子供を見てあげる、と言うのも心掛けたい。
才能を伸ばす=単純に学力を伸ばすことではなく集中力を身につけること、自分の頭で考える力・応用力を磨くこと、と繰り返し述べられている点も共感しました。
私のように、まずは一冊モンテッソーリ関連の本を読んでみよう、と言う方にはおすすめです(^^)
より分かりやすい漫画ver.もある様子!
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